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オタクコミュニスト超絶マンガ評論

オタクコミュニスト超絶マンガ評論

紙屋高雪 きあ

出版社:
築地書館
判型:
四六判
ページ数:
360ページ
発売日:
2007/11/20 

印刷した本を購入希望の方はこちら!




普段は、30代の普通のサラリーマン+まじめな共産主義者だが、ひとたび漫画を見つけると、漫画評論家に変身。
漫画評論の人気サイト『紙屋研究所』所長が、
長い長い夜のおともに、あなたとともにコタツで漫画を語り、
漫画で、恋愛(とエッチ)、結婚(とセックス)、学校(ざけんな)、
実家(の困った親たち)、政治(革命やれよw)を語る快楽をわかちあう!

5000億円ともいわれる巨大市場をなし、「国策」の文化産業をしても注目される日本の「マンガ」。
本書の特徴の一つは、インターネット出身の書き手によるマンガ評論だということです。「そのマンガを読んでいない人にも面白く感じられる評論」をめざした著者のウェブでの評論は人気を博しており、すでに全体を見渡せないほど多様化したマンガ世界において、そして、それゆえにともすればファンだけの中で自閉してしまうネットの膨大な感想の海において、「共通の言葉」をあみだすものとして注目されます。
二つ目の特徴は、マンガ「を」語る快楽とともに、マンガ「で」語る快楽、すなわち、マンガを通じて恋愛・結婚・労働・学校・政治といった人生の様々なテーマを語っていることです。
マンガ評論の歴史では、マンガを社会や政治の反映としてだけ論じることや、マンガをテーマの表現をしてのみ扱う評論スタイルが批判され、コマやフキダシといったマンガ固有の表現などマンガに内在的な価値を論じる評論が主流になってきました。マンガ評論においては必要な発展でしたが、同時に、マンガを通じてテーマや社会反映を語ることは、貧しくなってしまいました。マンガを自在に語って好評のNHK「BSマンガ夜話」でさえ、こうした点からみると物足りなさが残ります。
本書はときに政治主義的と思えるほど、この自由さを復権させ、「マンガを道具にして」人生の様々なテーマを縦横に語っています。読者はマンガを通じて人生のさまざまな問題と接続する快楽を本書で得られるものと確信します。

普段は地味な30代のサラリーマン、しかし、マンガ評論の人気サイトの主宰者であり、ヲタクかつ、まじめな共産主義者という、ユニークな取り合わせでキャラ立ちする著者が、漫画を語る快楽を読者と分かち合う、日本のマンガ評論に一石を投じる評論集です。

オタクコミュニスト超絶マンガ評論|紙屋高雪|きあ|築地書館


まえがき

1. オタク-永遠に終わらない夏休み
   終わらない夏休み あずまきよひこ『よつばと!』
   オタクのユートピア 少女のディストピア 相田裕『GUNSLINGER GIRL』
   宗教的心情にまで高まる虚構の真髄 柊あおい『星の瞳のシルエット』
   極限状態が生み出す「純粋な自分」 高橋しん『最終兵器彼女』
   効率優先の起承転結 矢島正雄・若狭たけし『どんまい!』 くさか里樹『ヘルプマン!』
   少女漫画を批判する少女漫画 河原和音『高校デビュー』
   対決 オタク対モテ系 『エビちゃんシアター DOUBLE FANTASY』
   ぼくのことを「名古屋の人ですね」とかいうな 司馬遼太郎『覇王の家』
   コラム:フリーターは本当に減っているのか

2. 恋愛とセックス――ぼくの脳の8割くらいを占める関心事
   欲望と叙情と峻厳さの鼎立 きづきあきら+サトウナンキ『いちごの学校』
   風俗嬢の「淋しい内面」を理解した気にさせる 安田弘之『ちひろ』
   自分のセックスを反省しよう 内田春菊『怒りと共にイキまくれ』
   反「矢沢あい」の世界 上田美和『ピーチガール』
   性的自意識を管理するために 陽気婢『えっちーず』『内向エロス』

3.  仕事――働くとは面白いことかつらいことか
   あーっ、働きてぇ! 安野モヨコ『働きマン』
   事務労働のユートピア? かたおかみさお『Good Job~グッジョブ』
   貧困の漫画 真鍋昌平『闇金ウシジマくん』
   命令を墨守する組織人 佐藤大輔・伊藤悠『皇国の守護者』
   分裂する人格――高ストレス下で働く女性 『きみはペット』
   格差とは貧困の問題である NHKスペシャル「ワーキングプア」
   コラム:「健康で文化的な最低限度の生活」はいくらあれば可能か

4. 結婚・子育て――生活と家族が生成する
   鋳直された『サザエさん』 けらえいこ『あたしンち』
   30前後の疲れた女が歌う「Duca」 豊田徹也『アンダーカレント』
   だれがモンスターなのか 篠田節子『百年の恋』
   ドグマの教育をこえて 明橋大二『子育てハッピーアドバイス』
   コラム:浮気をしたことがあるか

5. 実家・学校時代――自分の根拠をみつめる
   現代の怪談 すえのぶけいこ『ライフ』
   大学という異界 石川雅之『もやしもん』
   自分が好き カラスヤサトシ『カラスヤサトシ』
   読書感想文を一律に課するのをやめよ
   田舎ぐらしに必要なものは〈ことば〉だ 夢路行『あの山越えて』
   リアルな無力さ 今市子『百鬼夜行抄』
   コラム:小学校では縄文時代を教えていない

6.戦争と政治――無関心といわれても
   記憶と向き合う こうの史代『夕凪の街 桜の国』
   笑いが止まらない。が…… 赤石路代『市長 遠山京香』
   「丸山眞男」に手をさしのべる 希望は、革命。――赤木智弘「希望は、戦争。」について
   いま左翼と保守主義者は共同できるか 藤原正彦『国家の品格』

あとがき

著者紹介